見え方の違い(コンサート編)

コンサートの会場の種類

オールスタンディングのライブハウスから、スタジアムやフェスなどの大会場まで、コンサートは様々な会場で行われています。

一体感を楽しむライブハウスで双眼鏡を使う人は少ないと思いますが、2000人規模までの中小規模の会場では双眼鏡が役に立ちます。見え方については、「見え方の違い(劇・ミュージカル・歌舞伎編)」が参考になりますのでお目通しください。

ここでは2000人を超える大型ホールや10000人超のアリーナ、30000人を超えるスタジアムについて見ていきます。

遠目の席から見る場合、ステージからの距離は30~200mが想定されます。この距離で見る場合は、できるだけ高い倍率がほしくなるため、ヒノデのラインナップなら7x20がおすすめです。

大型ホール

渋谷NHKホールやオーチャードホール、国際フォーラムホールA、オリックス劇場、センチュリーホール、大阪フェスティバルホール、グランキューブ大阪など、2000~5000人くらいのホールは各地にありますが、最後列でもステージまで50mくらいです。

アリーナ

横浜アリーナ、日本武道館、国技館、大阪城ホール、日本ガイシホール、マリンメッセ福岡などは、ステージと座席の配置により、距離は異なってきます。

最近主流になりつつあるステージを会場の中央に置くタイプの配置であれば、ステージの一番近い場所までは50m程度です。一方で、ステージを会場のはじに置くタイプの配置の場合、一番遠い席からは100m以上とスタジアム並みの遠さです。

スタジアム

5大ドームのほか、サッカーや野球用に作られたスタジアム、さいたまスーパーアリーナのような30000人以上を収容できるアリーナも、しばしばコンサート会場として使われます。

これらの会場もアリーナと同様、ステージの配置で座席からの距離は大きく変わるようです。また、スタジアムのつくりによっても違ってきます。

日本最初の屋根付球場である東京ドームは、できた当初コンサートでの使用は想定されていなかったのかもしれません。バックネット裏が4階層になっており、一番遠い場所からメインステージまでは200m近い距離があります。最近ではバックステージやサイドステージが配置されるケースも多いのですが、一番近いバックステージまででも100mはあります。

名古屋、大阪、福岡の3つのドームは歴史が新しいこともあり、野球以外のイベントでも使えるように真円形に近い形をしています。

中央部にステージを置く場合、中心から最も遠い座席までは100mです。さらに、ステージを取り囲む形で円周型の花道を設定することが多く、アーティストはそこを動き回ります。その場合、一番後ろの席からでも一番近くまでアーティストが来たときには60mほどの距離になります。より多くの観客にライブを楽しんでもらおうという工夫が感じられますね。

札幌ドームに関しては、サッカー用のスタジアムでもあるため、ライブの際の座席配置はサッカー用のスタジアムに近くなります。サッカー用のスタジアムは形が色々あるのですが、やはり遠いところからは200mというケースもあり、東京ドームに近い状態です。

100mから見たとき

ここでは、肉眼、5x21-A5、6x21-N1、8x32-T1で、100mの距離からの見たときのイメージを見ていきましょう。下のボタンをクリックすると画像が切り替わります。

「ドームコンサートを見に行くんだけど、アーティストの表情がアップで見えるような双眼鏡はありますか?」というご質問をいただきます。

上の図で見たとおり、ヒノデの5x21、6x21、8x32ではとてもそこまで見えません。 これは手持ちで使う双眼鏡という道具の限界でもあります。

防振双眼鏡やフィールドスコープの世界

「ドームコンサートでアーティストの顔をアップで見たい」という気持ちに応えるような双眼鏡はあるのでしょうか。これをかなえるには、下記の二つの問題をクリアする必要があります。

1、手ブレの問題 : 通常は8倍くらいから手ブレの影響が気になり始め、10倍を超えると手ブレの影響は深刻になる。

2、明るさの問題 : ひとみ径口径÷倍率)が3mmを切るあたりから双眼鏡の暗さが気になり始め、2を切ると明るさが足りず視界がぼやけ始める。

これをクリアしているのがキャノンさんから出ている定価11万円台の高級双眼鏡「12x36IS III」です。

この双眼鏡は12倍という高倍率ですが、手ブレ防止機構が装備されているので手ブレが気になりません。また、口径を36mmと大きくすることで、ひとみ径を3mmにして明るさを確保しています。

手ブレ防止機構の分と口径が大きい分で、660gと7x20-K1の2倍以上の重さがありますが、それさえクリアできればスタジアムコンサーで「顔を見たい!」という気持ちに応えられるかもしれません。

野鳥観察などで50m以上離れたものをアップで見たいとき、フィールドスコープが使われます。三脚に固定するので手ブレはありません。口径60mmのフィールドスコープに20倍の接眼レンズをつければ双眼鏡並みのひとみ径が得られます。