見え方の違い(劇・ミュージカル・歌舞伎編)

見え方の違い(劇・ミュージカル・歌舞伎編)

劇場の大きさ

宝塚大劇場や東京宝塚劇場、帝国劇場、オリックス劇場、シアターオーブ、梅田芸術劇場など、1000〜2000人規模の劇場では、ステージまでの距離が一番後ろの席で20〜40m程度に設定されています。自治体が保有している市民会館や県民ホールもこのサイズが多いようです。

参考までに、テニスコートの長辺が23m、バスケットコートの長辺が28m、フットサルコートの長辺が約35m、電車一両の長さが約20m、一般的な小中学校の教室の縦の長さは約9mです。

座席の場所がわかっている場合は、座席一列を約1mで数えればステージまでのおよその距離がわかります。(15列目なら、ステージまでおよそ15m)

30mから見たとき

ここでは、5x21−A5(5x21−A+)、5x15−N2、8x32−T1の、30mの距離からの見え方を見ていきましょう。

30mの距離で5倍の双眼鏡を使う場合、30m÷5倍=6m
ということで、6mの距離から肉眼で見た場合と同じ大きさで見ることができます。
同様に8倍で見た場合は3.75m。劇場の2列目か3列目の座席と同様の距離感でしょうか。

倍率が上がれば対象との距離感は近くなりますが、一方で視界(見える範囲)は狭まります。

また、同じ倍率の場合でも視界の広さが異なることがあります。例えば5x20−A5は、5x15−N2と比べて視界が広いです。

その、視界と倍率の感覚を実感していただくために、下の画像を用意しました。ボタンをクリックすると機種が切り替わります。

       

動きの大きいミュージカルやダンスなどを見るときには視野が広い5倍が便利ですが、この距離ならば、どの倍率でもある程度の視野を確保できます。

逆に、より一人の演者の表情を詳しく見たいという要望があれば、8倍というのもありでしょう。

20mから見たとき

上では30mからの見え方を見てみましたが、これは最後部に近いゾーンからステージまでの距離です。

例えば、宝塚大劇場や東京宝塚劇場では全体の約70%を占める「SS席、S席」の場合、ほぼ全ての座席が、ステージから25m以内にあります。

歌舞伎座の座席のうち70%以上は「一等席」と「二等席」で占められますが、これらもほぼ25m以内に収まります。

劇団四季が運営している「四季劇場 春」は四季劇場の中では大きいほうですが、全体の85%を占めるS1席、S席、A席、B席は、やはり25m以内の場所にあります。

シアターコクーン、グローブ座、紀伊国屋ホール、シアタードラマシティー、グランド花月、オリエンタル劇場、バウホールあたりの1000人を切る規模の劇場であれば、全ての座席は25m以内に収まります。

『視覚系の情報処理』という学術書によれば、多くの場合12m以上はなれると人の表情がわかりづらくなってくるとか。それはそのまま双眼鏡がほしくなる距離と言えるかもしれません。

つまり観劇の場合、多くの人は15〜25mの距離から双眼鏡を使うのではないでしょうか。ということで、20mからの見え方を見てみましょう。

20mの距離で5倍の双眼鏡を使う場合、20m÷5倍=4m
となり、4mの距離から肉眼で見た場合と同じ大きさで見ることができます。
同様に8倍で見た場合は2.5mから見たのと同じ距離感ですから、劇場の最前席さながらです。

     

好みはあるかもしれませんが5x21−A5や5x15−N2の視野が観劇にはちょうど良いのではないでしょうか。

20mという距離だと、8x32−T1は見える範囲が狭く感じられるかもしれません。倍率が上がって迫力は増すかもしれませんが、これでは肝心の演者を見失ってしまうかもしれません。狭い視界の中に、目標の対象を入れるのは意外に難しいものです。

最前席並みに大きく拡大しても、双眼鏡には視界の限界がありますから、実際に最前席で見るときのように、視界の外側を見ることはできません。

この視野の広さと細部までくっきり見える明るさゆえに、観劇の分野では5x21−A5が多くの方から支持されています。