見え方の違い(スポーツ観戦編)
フィールドの広く動きの大きいスポーツ(サッカー、ラグビー、アメフトなど)
サッカーやラグビーなどフィールドの広いスポーツは、会場の大きさや使い方によって必要な倍率が異なります。
横浜国際や埼玉スタジアムでは、メインスタンド最上部から左右のゴールまでの距離は120mですから、8x25でもある程度視野が取れます。また、フリーキックやコーナーキック、選手が倒れたときや、選手交代の時など、主にプレイが止まっているときに使うのであれば、ボールの動く範囲は限られているので、8x25の方が、より細かいところまで見えるので良いかもしれません。
5x21は視野が広く取れるので、サッカー専用スタジアムや2000人規模の小さなスタジアムの前のほうの席では使い勝手が良いでしょう。また、大きなスタジアムで、100m以上離れた位置から見る場合でも、プレイが動いているときは、5x21の方が都合が良いかもしれません。8x25だと視野が狭いので、ボールを見逃してしまうことが多くなります。
サッカー好きなスタッフに聞いてみたのですが、彼は、遠い席だったとしても、プレイが動いているときは肉眼で見るほうが面白いので、双眼鏡はあまり使いません。逆にプレイがとまっているときは、テレビのように解説がないので、双眼鏡を使って見ると、何が起こっているのかを確かめることができて面白いんだそうです。
フリーキックやコーナーキックでは、選手たちの体の使い方やポジション取りもはっきりわかるので楽しいんだとか。ただやっぱり8倍ではボールを見失うので、5倍を持っていくそうです。
120mの距離を、5x20で見たときの視野の直径は約23m、8x25なら15mです。ペナルティーエリアはだいたい40×16mですから、見える範囲はだいたいこんな感じです。
小さな会場や、座席とコートの間にトラックのない、サッカー専用スタジアムで、真ん中くらいの席だったとすると、近い側のゴールまでの距離は約60m。先ほどの席よりはかなり近くなりますので、その分双眼鏡で見える範囲は狭くなるため、8倍ではかなり使いづらい感じになるでしょう。
野球
東京ドームの最上階(3階席)からピッチャーまでの距離は約100メートル。5倍の双眼鏡で見た場合は、
100メートル ÷ 5倍 = 20メートル
という計算で導き出されるのですが、20メートルの距離から見たのと同じ大きさで見ることができます。ピッチャーマウンドからホームベースまでの距離が約18.5メートルですから、キャッチャーのうしろの球審のあたりから見ているのと同じ大きさで見えます。
一方で、5x21の双眼鏡で見た場合の視野の広さは19メートルほどです。斜め上方向から見ているので、範囲としてはもう少し広い範囲が見えます。バッテリーとバッターをちょうど同じ視野に収められるイメージです。
これ以上倍率が上がるとピッチャーかキャッチャーのどちらかに対象を絞らなくてはならないので、ちょっと使いづらいかもしれません。
フィギュアスケート
フィギュアスケートの場合は5x21であれば十分に視野が広いので、競技中でも動きの速い選手を追いかけることができるようです。8x25の場合はキスアンドクライを見るのには使えますが、競技中に使うには視野が足りず、選手を追いかけるのは難しいようです。
フィールドがそれほど大きくないスポーツ(バレー、バスケ、テニス等)
国立代々木第一体育館や有明コロシアムなどの会場の場合で、かなり遠い席でも40m。中小規模の会場であれば遠くて20~30m程度の距離ですから、倍率はそれほど必要ありません。
例えば30mの距離であれば、5x21の視界は5.78m、8x25の視界は3.3mです。バレーのコートは18x9m、バスケのコートは28x15m、テニスコートは24x11mです。「顔を少しでもアップで見たい」ということでない限りは、少しでも視野の広いほうを選ぶほうが無難ですから、5x21の方が適しているはずです。
20m、30mからの見え方については、コラム「見え方の違い(劇・ミュージカル・歌舞伎編)」が参考になるかもしれません。お目通しください。