双眼鏡を固定した状態で見ることができる範囲の広さを、実視界と呼んでいます。

図1では、80mはなれた位置から見た時、ちょうど、木の上から根元までが実視界となります。実視界は角度で表され、図1の場合は6度です。

双眼鏡には、実視界のほかに、見かけ視界という考え方があります。

たとえば8倍の双眼鏡ならば、80m離れた位置にあるものが10mの距離から見たのと同じ大きさに見えます。図1の、左側の目の位置から見たのと同じ大きさになるわけです。倍率をふまえて、この位置から見ていると仮定した際の視界を、見かけ視界と呼びます。

見かけ視界も、実視界と同様に角度で表されます。 実視界×倍率=見かけ視界となり、図1の場合は48度です。

図2のように、実視界が図1と同じ6度でも、倍率が4倍の場合、見かけ視界は24度になります。

図3のように、見かけ視界が図1と同じだと、倍率が4倍の場合、実視界は12度になります。

実際に、のぞいたときのイメージは、下のようになります。 見掛け視界が60度以上の双眼鏡は、広視界型(ワイド)双眼鏡と呼ばれています。 視界が広いと目的のものを探しやすく、快適です。

しかし、視界は広ければ良いというものではありません。広くても、周辺までちゃんと見えなくては意味がないからです。それほど視界が広くなくてもゆがみなく見えるほうが好きだという人も少なくありません。明るさ、ゆがみ、像のシャープさ、重さ、コストなど、他の要素とのバランスが重要なのです。