双眼鏡で星を見る
双眼鏡は天体観察にも使えます。このことは、天文ファンの方なら皆さんよくご存知ですが、一般的には意外と知られていないようです。
たとえば、海や山へ遊びに行ったとき、夜は疲れて寝てしまうか、お酒を飲んですごすという人が多いかもしれません。しかし、一歩外に出て夜空を見上げれば、都会では絶対に見ることのできない満点の星空に出会えます。
そんな時、海でたとえれば、水中メガネと同じ役割をするのが双眼鏡です。天体望遠鏡をスキューバダイビングにたとえるなら、双眼鏡はシュノーケリングに近いかもしれません。いずれにしても、美しい夜空は海中と同じく神秘的で、昼間に匹敵する楽しみを味わうことができるでしょう。
天体観察に使える双眼鏡の倍率は、2倍から30倍以上まで、非常に幅広いです。もちろん10倍程度を超えると、三脚での固定が必要になります。
有名な2倍の双眼鏡に、笠井トレーディングさん(天文ファンには有名な天体望遠鏡の専門商社)が扱っているワイドビノという商品があります。アイレリーフが極端に短いため、オールマイティな双眼鏡ではありませんが、倍率2.3倍、実視界28度の超低倍率、超広視界で、肉眼では見えない星空を楽しめると評判です。
逆に、フジノン(富士フィルム系の光学メーカー)の製品に代表される、大型双眼鏡(もしくは対空双眼鏡)と呼ばれる双眼鏡は15~40倍という高倍率です。10kg前後と非常に重く大きい鏡体を、頑丈な架台と三脚にのせて使います。
もちろん、日の出光学で扱うような5~8倍という双眼鏡でも星を楽しむことができます。空気が澄んだ田舎に行けば、木星の周りを衛星がとりまく様子が見えたり、アンドロメダ星雲や、二重星団、すばる(プレアデス星団)、プレセペ星団など、美しい風景が見えてきます。
なぜこれほどまでに幅広い倍率が使われるのかというと、倍率や、それにともなう視野の広さに応じて楽しめる天体が異なるからです。どの倍率が特に面白いというわけではなく、それぞれに違った楽しみがあるのです。
低倍率の双眼鏡で見る天体の面白さについては、コラム「双眼鏡で見る星、双眼鏡で見る夏」に詳しく紹介されています。こちらも是非ごらんください。