樹脂レンズについて

樹脂レンズについて

>>戻る

最近では、メガネなどに樹脂レンズ(プラスチックレンズ)がよく使われています。

ガラスレンズを製造するとき、荒ずり→研磨→洗浄→芯取りという工程を踏みますが、これは200年前から変わりません。一つ一つの工程は、精度が高いレンズを効率よく作るために、少しずつ技術革新がなされ、変化していますが、4つの工程を踏むこと自体は変わっていないのです。

それらの工程を踏まずに、金型でバンバン量産できてしまうのがプラスチックレンズです。金型で量産できるぶん、コストは大幅に下がります。そのうえ軽量です。

また、ガラスでは非常に作るのが難しかった非球面レンズでも同じように作れてしまいます。非球面レンズは、複数枚の球面レンズ(一般的なレンズ)を組みあわせることで消していた収差を、一枚だけで消すことができるすばらしいレンズです。そういう意味で、プラスチックレンズは革命的とも言えます。

このように書くといいことずくめのようですが、もちろんデメリットがあります。吉田正太郎氏の『屈折望遠鏡光学入門』によると、

・耐熱性が弱いので使用する場所が制限される。
・屈折率も、膨張率も、ガラスの10倍以上の温度変化がある。
・吸水性があり、水を吸うと屈折率が変化する。
・屈折率にばらつきがでやすい。
・内部の均質性でガラスに劣る。
・成形時に収縮・変形が起こりやすい。
・耐候性(屋外使用時に、紫外線等の影響で、変形、変色、劣化等、変質を起こしにくい性質)でガラスに劣る。

といったデメリットがあげられています。

双眼鏡は当然、外で使うので、熱や湿気や紫外線の影響は免れません。暑い夏の車内など過酷な状況におかれることもあるでしょう。そういうシチュエーションでプラスチックは不利ということでしょう。

また、屈折率や内部の均質性は、見え方に影響するでしょう。以下に、懇意にしている工場で聞いた話を書きましょう。

双眼鏡には片目だけで5枚以上のレンズが必要です(詳しくは用語集「双眼鏡の型式」)が、そのレンズのうちの1枚だけをプラスチックにした場合、どうなるのでしょう。確かにガラスと比べれば像は悪くなるのですが、安い双眼鏡であれば、まあ問題ないというレベルに収まるのだそうです。しかし、それが2枚、3枚となるとちょっと容認できないレベルになるようです。(それでも、2枚3枚と入れてでもコストダウンして欲しいといわれることもあるとのことです。)

いずれにしても、双眼鏡の材料としては、いまだ、プラスチックレンズはガラスレンズに劣る部分があるということです。実際、5万円以上の双眼鏡にプラスチックレンズが使われているのはあまり見たことがありません。

もちろん、ある程度見えれば十分という事であれば、この低コストさと機能性の高さは大きなメリットですから、一概にプラスチックレンズが悪いとはいえません。使い方次第ということでしょう。

>>戻る