寄稿 野鳥撮影に最適な5×20

寄稿 「野鳥撮影に最適な5×20」 by bird55

ヒノデの古くからのお客様であり、野鳥観察と撮影のベテランでもある、bird55さんから、ヒノデAシリーズがいかに野鳥撮影の補助として適しているかを文章にしていただきました。(以下寄稿)


低倍率双眼鏡の長所については、こちらの「日の出ホームページ」に詳しく書かれているので、それをお読みになれば十分に理解できるかと思います。しかし、具体的にどのような場面で低倍率双眼鏡が優れているのかと言うと、特にバードウォッチング分野での解説があまりなかったようなので、5×20−AシリーズをA1→A3→A4と愛用しており、野鳥観察は子供のころから50年ほど続けている私(bird55)が経験上感じたことを書いてみようと思います。

ある程度私の鳥見や双眼鏡の経歴を紹介しておかないと、ここに書く内容も説得力がないと思いますので、それに関してから始めます。

自宅前が森や畑だったことから、子供のころから野鳥に興味があり双眼鏡を使い始めたのは10歳の時でした。当時の双眼鏡はメーカーがいろいろあってもほぼ同じような形状で最も無難に良く見えたのはポロプリズムの8×30でした。これは今でも所有していますし使える状態になっている優れた機材です。ただ、私はそのころ視力がかなり良かったので、あまり双眼鏡が必要だとも感じませんでした。特に森の中で双眼鏡は使いづらく、ほとんど使用した覚えがありません。これが後で説明しますが8倍ではなく低倍率の5倍や6倍の双眼鏡の大変優れていることにつながるのです。

その後、天体にも興味が出てきて、この8×30はその分野でも結構な実力を発揮しました。月はもちろん、木星のガリレオ衛星など毎晩観察して、その動きを確認したものです。

社会人になってからは、光学製品もいろいろと購入できるようになったので、一眼レフと望遠レンズとともに、双眼鏡もグレードアップのつもりで10×50ポロを手に入れ、意気揚々と野鳥撮影に出かけたものです。ところがです、この10×50の双眼鏡、単体で1kg以上もあり、さらにかさばります。そしてなお悪いことに視野が狭く探鳥にあまり役に立たないどころか、撮影には邪魔な存在でしかなかったのです。天体観望で使えばコントラストが高く、三脚に固定して使用すると星団なども素晴らしくよく見えたので、自然とこの双眼鏡は天体専用になっていったのでした。

それで、次に野鳥関係で使用するようになった双眼鏡は、とにかくコンパクトのものと言うことで某大手メーカーの7×20なのです。非常に軽くコンパクトで野鳥撮影時や山歩きの時は重宝したものです。ただ、難点はアイポイントが短いので眼鏡の上からでは見にくいのでした。中学生のころから私はごく軽い近視になっていて、普段の生活ではまったく眼鏡は必要なかったのですが、鳥見は最高の視力が必須条件ですので眼鏡をかけるようになって、それが今でも続いています。

それで、探し始めたのが、ハイアイポイントで可能な限り小型の双眼鏡で、その種のものを数台買い足しました。ただ、コンパクトで8倍の双眼鏡はやや暗く、決して見やすいとは思えず、夕闇に飛ぶフクロウ類や広い農耕地で探鳥をするために、中型の双眼鏡7×40、8×40、も使用し、手振れ補正型の10×30も一時期お気に入りではありました。

数十年間いろいろな双眼鏡を使いながら思ったことは、倍率に関していうと、7倍、8倍、10倍、20倍(天体用大型双眼鏡)の中で、もっとも野鳥を見やすいのは7倍だったのです。倍率が低い方が手振れも少なく、焦点深度も深く(※カメラで言うところの被写界深度。要はピントが深いということ)、視野も広いので、気持ちよく見ることができて、長く観察しても疲れません。倍率が低くなるとわずかに見える対象物は小さくなりますが、反面コントラストは高くなるしシャープに感じるので、細かいところも高い倍率の双眼鏡と同じように見えるのです。

8倍より7倍の方が使いやすいのなら、6倍はさらに使いやすいのではないか?と思って探していたのですが、6年ほど前までは7倍より低い倍率の双眼鏡は一般にはほとんど発売されていなかったのです。

そんな時にネットで見つけたのが、この日の出光学の5×20-Aシリーズだったのです。日の出光学のホームページで解説されていたことは、私の思っていたことと全く同じ。ただ、6倍を通り過ぎて5倍だったのがなんとなく不安でもありました。さすがに低倍率過ぎないかと思ったのです。しかし、低倍率だけでなく、非常にコンパクトなのにハイアイポイント、まさに三拍子そろった夢のような双眼鏡!なんて本当に思ったのでした。そしてすぐに購入してみると、期待通りの性能で、もう鳥撮りには絶対に欠かせない双眼鏡になったのです。

ここからが、低倍率双眼鏡がいかに鳥撮りで優れているかと言う説明になります。

遠くにじっとしている鳥を見るのであれば、ある程度信頼できるメーカーの8〜10倍機でも充分よく見えますが、鳥見や鳥撮りはそんな良い条件ばかりではありません。と言うかそうでない方が多いと思います。特に森にいる鳥はのんびりと見ていられることなどほとんどありません。そのような時、視野が広く、瞳径が大きく、焦点深度が深く、アイポイントが長く、しかも軽くコンパクト、と言う性能はどれも欠かせないのです。簡単に言うと、見たいものを瞬間でとらえる性能ですよね。

具体的に言うと、たとえば森の中で囀っているキビタキを探すとき、声の方向に双眼鏡を向けても8〜10倍の双眼鏡では、鳥を視野に入ることが難しく、たとえ入っていたとしてもピントがずれていると、それに気が付かないことが多くあり、結局見ることができなくなってしまうのです。これは双眼鏡で鳥見をしたことがある方ならば、誰もが経験することです。だいたい、8〜10倍機で森の中を見ると、自分がどこの枝を見ているかさえ分からないことが多いのです。
ところが5倍機の双眼鏡は、視野が広く焦点深度が深いのでピントも大まかに合わせておけばすべて見えてしまうので、簡単にキビタキを確認できてしまいます。

別の表現をすると、肉眼に近い感じで見ることができ、視力が限りなく良くなった、と言えば分りやすいかもしれません。

すぐに信じてもらえるのは難しいかもしれませんが、森の中のようなところでは、5倍の双眼鏡は8〜10倍の双眼鏡よりはるかに役立つのです。

ついでに書いておくと、キビタキは囀りながらでも頻繁に枝を移動するので、双眼鏡で追っていけば、そのうちに良いところに止まり、そこをすかさず撮影することになります。この間、数秒から数十秒ですので、使いづらい双眼鏡では、そのチャンスを逃すことになってしまいます。

また、今年の夏のことですが、高原のオオジシギを撮影したときのことです。オオジシギが飛んできて草地に下りたところまで、私と近くにいた数人のカメラマンははっきりと見ることができ、シギが下りたところはそれほど距離もなかったので、これは撮影チャンスとばかり皆カメラを向けたのです。ところが、草地に下りたオオジシギはすぐに草の中を歩いて移動してしまったらしく、付近を探しても姿が見えないのでした。この時も5倍の視界が広く焦点深度が深い5x20−Aシリーズを使用していた私は、短時間でかなり離れた場所に現れたオオジシギを見つけることができました。それで撮影を始めると、周りの人は私のレンズの方向を見て、そこから再び探し始めたのでした。

また、ある有名な鷹の渡り観察スポットでのことです。上昇気流が起きる正午前後の時間はじっくりと椅子に座って観察できるので、私はその時、5×20-A1と8×40ダハ、それに、手振れ補正の10×30と3台も双眼鏡を持って観察し始めました。ところがその日はあいにく渡りの鷹はたまにぱらぱらとしか飛びません。しかもたまに飛ぶタカもけっこう遠くなのです。

そうなるとその観察スポットの大勢の人たちは皆必死に双眼鏡で鷹を探すわけです。私も双眼鏡をとっかえひっかえして探してみたところ、なんとこの時も一番効果的に探せたのは5×20Aシリーズだったのです。視野が広いこと、低倍率だから手振れがほとんどなく落ち着いて見られること、そして非常に軽いので腕も疲れないこと、明るくシャープなこともあって、肉眼で見ているような感じでずっと見ていることができ、結果周りの誰よりも早くに鷹が飛んでくることが分かったのです。それで、私が真っ先にカメラのシャッターを切ると、そのシャッター音に反応して周りの人が同じ方向を捜すと言うことが繰り返されたのでした。

周りの人は、私のことを「このオヤジ、こんなちっちゃな双眼鏡で、どうしてすぐに鷹を見つけるのだろう?」と不思議に思っていたことでしょう。なんてことはない5×20-Aシリーズを使っていれば訳なく見つけることができるのです。このときは、本当にじっくりとほかの双眼鏡とも比べることができたので、こんな開けた場所でも5倍機が優れているということが分かり、あらためて驚かされたのでした。

もう一つ、5×20-Aシリーズの優れていることがあります。それはガラス越しに見たときの歪みの少なさです。これは低倍率なので当然かもしれませんが、6倍機と比べてもかなりの差と言うか、6倍機では使えないくらいの条件でも5倍機で見えることがあるのです。それは窓ガラスに水滴(雨水)が付いている時です。そのような時は、肉眼でも見にくいですが、なぜか5×20はうまくするとよく見えるのです。小さな口径と低倍率と言うことがその理由かと思います。6×32の双眼鏡で同じように見てもぼやけた状態で使えません。先日天気の良くない日に鳥撮りに行って、途中で雨に降られてしまい、車で待機したときに分かったことです。こんなことも鳥撮影ではたまにあることですので、知っておいて損はないでしょう。また車内でも大きな双眼鏡は窓ガラスに当たるなど使いづらいことがあるので、小さなA4はお勧めです。

これまで5×20-A1→A3→A4と使用してみて、最初のA1でも使い始めたときにビックリするほどよく見えたと思ったのですが、それがA3でさらにレベルアップし、またA4でも明らかに性能がよくなり、これまで、場合によっては他に所有している6×30-B2とか6×32の出番があったのですが、もうすべてA4で済んでしまう感じになっています。ただ、日の出6×30-Bシリーズはアイポイントが長く視野全体がさらに明るいので、その点ではAシリーズはかないません。

フィールドで鳥撮りをしていると、時々同じように野鳥撮影をしている人に話しかけられて、情報交換などをするのですが、そんな時、双眼鏡について聞いてみると、多くの人が高級な中型の双眼鏡を所有しているのですが、あまり使わないようなことを言われます。撮影機材と一緒に持ち歩くには双眼鏡は少し邪魔になりますし、動き回る野鳥を見るには視界が狭く焦点深度が浅いなどで、使いづらいことがあるのでしょう。私もさんざん経験したことですからよくわかります。

そんな時に、私の使用している5×20-Aシリーズを出して、見てもらうと、みなさんこんな小さな双眼鏡がよく見えるので、ビックリされます。そしてほとんど必ず値段を聞いてくるので、だいたいの価格を伝えると、それに対して、「安いね〜」と言われるのです。かなり高級な双眼鏡の見え味だと判断すると、お安く感じるのでしょう。

現在、野鳥観察や撮影を趣味にしている方が急増しているようです。しかし多くの方は野鳥情報を聞いて、その場所に行き、ある程度決まった野鳥を見たり撮ったりする、そんなパターンが多いのではないでしょうか。でも、「探鳥」と言われるように、自分でいろいろな野鳥を探せるようになると、もっと楽しさも広がります。わざわざ大勢の人が集まっている場所で野鳥を見るのではなく、自然が多く静かな場所で野鳥との距離を少しおいてのバードウォッチング。お勧めです。

そんなときのお供に最適なのが、カメラを持たないのであれば6×30-Bシリーズが良いのかもしれませんが、カメラで撮影もという時には、5×20-Aシリーズです。と言うのが私の結論なのです。

7倍〜10倍の小型と中型の評判の良い双眼鏡を他に10台以上も現在保有しており、たまにそれらで近くの森の鳥などを見比べてみるのですが、結果はやはりA4が一番使いやすいということになるのです。

有名なメーカーの8倍機は、きちんと構えて慎重にピントを合わせれば、非常によく見えます。ただ野鳥を見るときは、そのような余裕のある条件にならないことが多いのです。

繰り返しになりますが、明るくはっきりと見えるということに加え、広視野、深い焦点深度、ハイアイポイント、小型で軽量などの条件をもっともクリヤーしているのは5x20-Aシリーズだと私は思います。特に眼鏡をかけている人であればなおさらです。

今この内容を信じられない人も、数年間いろいろな双眼鏡を頻繁に使ってみれば同じような結論になるはずだと私は思います。